カルトの特徴とは




 「宗教とカルト」は明確に線引きし難い部分がありますが、私の理解するカルト【cult】とは、目的のためには手段を選ばずに強引な勧誘をし、反社会的で破壊的な行動を取る狂信的な宗教思想です。
 思想上の最終目的である個人の解脱や絶対幸福、永遠の命、至福天国を得るためには手段は選ばない。つまり、結果的には本人自身が感謝することになるのだから、勧誘の段階では相手を騙すことも厭わないし、強引にでも入信させることが相手のためになるものと見なす。だから、警戒心を抱かれないよう団体名を隠して近づこうが、珍味売りして歩こうが多宝塔や壷を売りつけようが、詐欺商法で教団の資金を稼ごうが構わないとなる。つまり、酷いものは次第と犯罪性を帯びてくる。

 ただ知っておくべきことは、「宗教」の性質そのもの自体が反社会性を有しているということ。魂のレベルにおける永遠の生命という観点から見た霊的な思想は、唯物主義で今生にて生命が終焉するものと見なして形成された現代社会の法規やシステムとは、元々、相成れないもの。しかし、正しい宗教(カルトではない宗教)は相手の意志を尊重して優先、社会的な法規にも違反することがない。それは何故か?
 何故なら、人間の持つ「自由意志」こそが最も神聖で犯すべからざるものだからです。思考力とマインドの働きこそ、私たち人間を人間たらしめている最も大切なもの。神仏の存在を信じないという彼の考えは神聖なものです。霊魂を認めないという彼の考えは神聖そのもの。人間は自らの失敗と過ちの体験を繰り返すことによって学び、成長する。であるから、決して相手の意志に反し、強制力で従属させてはならない。世界には聖戦と称して報復と殺戮を繰り返している思想やグループがあるが、そのような破壊的な行為は醜悪の極みであり、全く神聖ではない。
 
 もう一つ大切なカルトの特徴は、信徒に危機感を煽って勧誘に走らせること。そして、教主や思想や教団に対する疑義を持つことに対する強烈な恐怖を植え込むこと。
 聖書の信奉団体ならば終末観、ハルマゲドンや最終戦争の勃発が近い、といった内容で危機感を煽る。霊障の不成仏霊が氾濫し、横変死の因縁の持つ人間が激増していて人類滅亡の危機が迫っているとか・・。後は、疑うことは信徒として最も恥じるべき行為であるとして知るのが信徒の美徳であると思い込ませる。そして脱会者の悲惨な末路のような事例を教えておけばいい。
 付け加えて、カルトに限らず「自分の教団だけが唯一絶対の真理で、他は全て邪教である」という極端な姿勢をとる団体にも疑問符が付く。こういうところは何かと問題を起こす。
 高額な金銭を必要とする信仰も疑わしい。元々、金額の設定できない領域において、幾らから高額なのかという難しい問題はあるが、金取り宗教は信徒が、「布施」という金には代えられない霊的功徳を得るものとして金銭感覚を麻痺させる手法を取る。しかし、金持ちほど霊的成長の機会が得られるシステムなど、天は決して与えていないと知るべきです。

 これらの基準と照らし合わせることで、自分や周囲で今、接触してきている宗教や団体にカルトの危険性がないかどうかについての大きな目安となる。


『何がカルトと呼ばれるか――日本の事例
 統一教会の霊感商法(因縁話で高額の商品を売りつける)、団体名を知らせない伝道方法、軟禁状態、マインドコントロール、集団結婚、教祖のセックス・スキャンダル、マインド・コントロールかでの結婚・セックスの強要
〜日本の宗教関係被害ではもっとも目立っている。消費者問題として、弁護士が救済に熱心。海外でもよく取りあげられる。
 オウム真理教 過酷な修行、極限状況、薬物使用、神秘体験、マインド・コントロール、住民とのトラブル、リンチ殺人事件、終末の自作自演、被害妄想、サリン事件
 法の華三法行の足裏診断、詐欺の疑い、
 自己啓発セミナーの問題。グループ・セラピー。高額であること。勧誘ノルマ。一時的でないこと。

「カルト」の特徴とされるもの
 絶対的指導者崇拝、異端的教義、反社会的、破壊的、詐欺的、激しい勧誘、監禁状態、心身の操作、教義にもとづく脅迫、自由意志を損なう、情報遮断、閉鎖集団、脱会困難、終末論など。
 「カルトとは、社会から孤立した閉鎖集団で、洗脳やマインドコントロールを行い、破壊活動や、詐欺など法にも触れるような事件を起こす教団のこと。とりわけ、社会に恨みをもっておりエゴイスティックなので、世界が滅んでも自分たちだけは救われるとする終末論的教義を強く信奉する団体が多い。そのため、自己防衛の名目で外部に攻撃的になる」』
 http://homepage1.nifty.com/norick/seishin2001s1.html


『カルトの見分け方
 カルトを見分けるのに分かりやすい特徴を箇条書きにするなら、以下のような点を挙げることができるでしょう。これらをチェックしていけば、その宗教がどれほどカルト性を持っているかを知ることができます。必ずしもカルトが以下のすべての特徴を有しているわけではありませんが、その大部分が当てはまるなら、カルトと考えて差し支えないと思います。
  1.真理はその組織に占有されており、その組織を通してのみ知ることができると主張する。
  2.組織を通して与えられた情報や考え方に対しては、疑ってはならない
  3.自分の頭で考えることをしないように指導する
  4.世界を組織と外部とに二分する世界観を持つ
  5.白黒を常にはっきりさせる傾向が強い
  6.外部情報に対して強い警戒感を与え、信者の情報経路に様々な制限を加える
  7.信者に対して偏った情報、偽りの情報を提供することがしばしばある
  8.組織から離脱した人間からの情報に接することを禁じる
  9.家庭や社会との関わりで多くのトラブルを生じている
 10.社会からの迫害意識を持ち、それをかえってバネにする
 11.外部に対して正体を隠す傾向がある
 12.生活が細部にわたって規定される
 13.組織が信者の生活のすべてになっている
 14.共同体内部でのみ通用する言葉を多く持っている
 15.組織からの離脱について極度の恐怖心を与える』
 http://www7.ncv.ne.jp/~church/what'scult.htm

 上記は、サイトページ『宗教文化論1――宗教とアイデンティティ』、及び『総論:カルトに関する基本的理解』からの抜粋です。カルトとは一体何んなのかということで、私たちがカルトの定義について理解する上で、とても役立つものと思い、ここに紹介しました。



宝珠愚者編著 2004/07/21



                                                         HOME

inserted by FC2 system